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小児の睡眠時無呼吸症候群
口呼吸が続くと、顎の発達が妨げられ「アデノイド顔貌」になりやすくなります。
鼻が詰まったりアデノイドが大きかったりして常に口を開けて呼吸をしていると、唇や頬の筋肉が歯を押さえる力が弱まり、上顎の歯が前に出てきたり(出っ歯)、顎の幅が狭くなったりします。 これにより、独特の面長で締まりのない顔つき(アデノイド顔貌)や、歯並びの乱れにつながります。早期に鼻呼吸を確立することは、きれいな歯並びと顔立ちを育てるためにも重要です。
手術ができない場合や、肥満が原因の場合にはCPAPを行います。
小児用の小さなマスクも開発されています。ダウン症などの基礎疾患があるお子さんや、手術をしても無呼吸が残ってしまった場合、また高度肥満のお子さんにはCPAP治療が導入されます。 また、顎を広げるための歯科矯正(急速拡大装置など)を行うこともあります。成長段階にある子どもだからこそ、成長を利用した治療戦略が立てられます。
大人と同じく、自宅での簡易検査や入院検査(PSG)を行います。
入院検査の場合、小さなお子さん一人での入院は難しいため、通常は親御さんの付き添い入院が必要です。 体にたくさんのセンサーをつけますが、痛い検査ではありません。どうしてもセンサーを嫌がってつけてくれない場合などは、医師の判断でパルスオキシメーター(指先のセンサー)だけの検査で診断することもあります。
子どもの場合、手術が「第一選択」の治療となることが多いです。
大人の場合はCPAPが主流ですが、子どもの場合は原因(アデノイド・扁桃腺)を取り除く手術をすれば、劇的に完治することが多いため、手術が推奨されます。 「全身麻酔で手術をするのが怖い」と心配される親御さんも多いですが、耳鼻咽喉科では非常に一般的な手術です。手術によっていびきが消え、身長が伸び、顔つきもしっかりするなど、メリットは非常に大きいです。
ほとんどが「アデノイド・扁桃腺の肥大」です。肥満は少数派です。
子どもの気道は大人のように広くありません。そこに、生理的に大きくなったアデノイドや扁桃腺が張り出すことで、空気の通り道が塞がれてしまいます。 その他、アレルギー性鼻炎による鼻づまりや、顎が小さい骨格も原因となります。最近では、食生活の変化により「小児肥満」による無呼吸も増えてきていますが、やはりリンパ組織の肥大が最大の原因です。
はい。「寝る子は育つ」は本当で、成長ホルモンや脳の発達に直結します。
身長を伸ばす「成長ホルモン」は、深い睡眠(ノンレム睡眠)の間に集中的に分泌されます。無呼吸で睡眠が分断されると、このホルモンが十分に出ず、低身長や体重増加不良の原因となることがあります。 また、脳が十分に休息できないため、集中力が続かず、学校の授業についていけなくなったり、学業成績が低下したりすることにもつながります。子どもの将来のためにも、良い睡眠を守ることが大切です。
子どもは眠いと逆に興奮するため、ADHDと間違われることがあります。
大人は睡眠不足になると「昼間眠くなる」のが普通ですが、子どもは眠気を紛らわそうとして、逆に「ハイテンションになる」「落ち着きがなくなる」「キレやすくなる」という行動をとることがあります(多動・衝動性)。 この症状がADHD(注意欠陥・多動性障害)とよく似ているため、実は睡眠の問題だったのに、発達障害と誤解されてしまうケースがあります。睡眠治療で劇的に落ち着きを取り戻すお子さんもいます。
A. 深い関係があります。無呼吸が治るとおねしょも治ることが多いです。
深い睡眠中には、尿を作らせないようにする「抗利尿ホルモン」が分泌されます。しかし、無呼吸で睡眠が浅くなると、このホルモンの分泌が悪くなり、夜間でも尿がたくさん作られてしまいます。 また、無呼吸から呼吸を再開する際の腹圧で膀胱が刺激されることも原因の一つです。 小学生になってもおねしょが治らない場合、泌尿器の病気だけでなく、睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか疑う必要があります。
カテゴリ9のQ83(子どものおねしょと無呼吸の関係)に関するリファレンスを作成しました。
この回答の根拠は、**「無呼吸を治療(アデノイド切除など)すると、高い確率でおねしょが治る」という多数の臨床データと、「なぜ尿が増えるのか」**というホルモンのメカニズムに基づいています。
Q83. おねしょ(夜尿症)と関係がありますか?
A. 深い関係があります。無呼吸が治るとおねしょも治ることが多いです。
参考文献 (References)
1. 手術(アデノイド・扁桃摘出)による夜尿症の治癒率を示した研究
- Jeyakumar A, et al. Adenotonsillectomy for nocturnal enuresis in children with obstructive sleep apnea: a meta-analysis. Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2012.
- 解説: 過去の複数の研究データをまとめて解析(メタアナリシス)した、信頼性の高い報告です。
- 睡眠時無呼吸症候群とおねしょ(夜尿)を併発している子どもに対し、アデノイドや扁桃腺を取る手術を行ったところ、「約61%の子どもで夜尿が完全に治り、約23%で改善した(合計8割以上が改善)」という結果が出ています。
- このデータは、夜尿症の治療において「まずは気道の問題を解決すること」がいかに重要かを示しています。
2. 夜尿が起こるメカニズム(ホルモンと覚醒障害)の研究
- Kovacevic L, et al. Hormonal changes in children with obstructive sleep apnea and enuresis. Journal of Pediatric Urology. 2014.
- 解説: 無呼吸のある子どもは、脳からの「抗利尿ホルモン(ADH/夜におしっこを作らせないホルモン)」の分泌リズムが乱れていることを報告しています。
- さらに、無呼吸による「ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)」の分泌増加が加わり、夜間に尿が過剰に作られてしまう(夜間多尿)ことが原因の一つとされています。
3. 日本の診療ガイドライン
- 日本夜尿症学会
- 『夜尿症診療ガイドライン2021』
- 解説: 日本のガイドラインにおいても、夜尿症の診察時には「睡眠時無呼吸の有無(いびき、陥没呼吸など)」を確認することが推奨されています。
- 治療抵抗性(生活指導や薬が効かない)の夜尿症の中に、SASが隠れている可能性が指摘されており、耳鼻咽喉科との連携の重要性が記されています。
基本的に、子どもがいびきをかくこと自体が正常ではありません。
風邪をひいている時だけなら問題ありませんが、毎晩のようにいびきをかいている場合、何らかの異常があると考えられます。 特に、息を吸う時に胸がペコっとへこむ「陥没呼吸」や、顎を上げて苦しそうに寝ている場合は、気道がかなり狭くなっています。
日中の眠気のせいで学校生活が上手く送れなくなったり、発達に支障を来したりする可能性があります。「寝息がうるさい元気な子」と見過ごされがちですが、十分な睡眠がとれていないサインですので、早めに耳鼻咽喉科や小児科へ相談してください。
はい。子どもの1〜3%に見られる、決して珍しくない病気です。
大人だけの病気と思われがちですが、赤ちゃんや幼児、小学生でも発症します。 大人の原因は「肥満」が多いのに対し、子どもの場合は「アデノイド(鼻の奥のリンパ組織)」や「口蓋扁桃(喉の奥の扁桃腺)」が大きくなることが主な原因です。 これらの組織は3〜6歳頃に最も大きくなるため、この年齢層での発症が特に多く見られます。放置すると成長や発育に影響するため、大人のいびき以上に注意深い観察が必要です。
