【203】コレステロールや中性脂肪(脂質異常症)にも影響しますか?
はい。特に「中性脂肪」の上昇と深い関わりがあります。 夜間の低酸素状態は、身体がストレスを感じて交感神経が興奮して、脂肪の分解を妨げ、肝臓での中性脂肪の合成を促進させてしまいます。また、動脈硬化を進行させる「酸化ストレス」や「炎症」も引き起こします。食事制限をしているのに中性脂肪が下がらない場合、睡眠中の呼吸状態が隠れた原因となっている可能性があります。
参考文献 (References)
1. CPAP治療によってコレステロール値が改善することを証明した研究(メタ解析)
- Nadeem R, et al. Effect of continuous positive airway pressure on lipid profile in patients with obstructive sleep apnea: a meta-analysis. Chest. 2014.
- 解説: 過去に行われた29の研究(合計約2,000人のデータ)を統合して解析した、信頼性の高い報告です。
- CPAP治療を行うことで、「総コレステロール」「LDL(悪玉)コレステロール」「中性脂肪」の値が有意に低下することが示されました。
- この結果は、無呼吸そのものが脂質異常症の原因の一つであり、呼吸を治すことが脂質のコントロールにつながることを裏付けています。
2. 無呼吸が脂質代謝を乱すメカニズム(脂肪のクリアランス障害)
- Drager LF, et al. Intermittent hypoxia inhibits clearance of triglyceride-rich lipoproteins… European Heart Journal. 2012.
- 解説: 脂質代謝とSASの研究で著名なDrager博士らによる研究です。
- 睡眠時無呼吸の患者さんは、食事で摂取した脂肪分(トリグリセリド)を血液中から分解・吸収して片付ける能力(クリアランス)が低下しており、食後の高脂血症が長く続きやすいことを明らかにしました。
- これが、SAS患者さんにおいて動脈硬化が進行しやすい原因の一つと考えられています。
3. 日本の動脈硬化予防ガイドライン
- 日本動脈硬化学会
- 『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』
- 解説: リスク評価の項目において、睡眠時無呼吸症候群は「心血管疾患の独立した危険因子」として扱われています。
- 脂質異常症の治療を行っても数値が改善しない場合や、肥満がある場合には、SASの合併を考慮する必要があるとされています。
