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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の用語集|AHI・REI・PSG・CPAPなど検査と治療の基礎知識

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の用語集|AHI・REI・PSG・CPAPなど検査と治療の基礎知識

はじめに

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」について調べたり、病院で説明を受けたりすると、アルファベットの略語や専門用語がたくさん出てきて戸惑うことはありませんか? 実は、病気が社会に広く知られるようになったことで、一般の人が使う言葉のニュアンスと、医療従事者が厳密に使う専門用語との間に、いくつか「意味のズレ」や混同が生じています。自分がどのような検査を受け、どのような状態だと診断されているのかを正しく理解し、納得して治療に進むためには、この用語の違いを知っておくことが非常に役立ちます。

今回は、病院のホームページやニュースなどで見かける重要な用語を、基礎から詳しく解説していきます。

SAS専門用語

[1]病名の呼び方に関する用語(SAS・OSA・CSA・SDB)

まずは、病気の名前や状態を指す用語です。

● SAS(睡眠時無呼吸症候群) 一般的に最もよく知られている病名です。英語圏では「エスエーエス」と読まれることが多いですが、日本では「サス」という読み方が定着しています。実はこのSASという言葉は、原因によって大きく「OSA」と「CSA」という2つのタイプに分けられ、これらを合わせた総称として使われます。

● OSA(閉塞性睡眠時無呼吸) 空気の通り道(上気道)が物理的にふさがってしまうことが原因で起こるタイプです。世の中で一般的に「SAS」と言われているものの大部分は、実際にはこの「OSA」を指しています。太っている人だけでなく、顎の骨格が小さい人などもなりやすいのが特徴です。ちなみに、医療現場では「オーエスエー」と読みますが、日本では「オーサ」と読む人も少なくありません。

● CSA(中枢性睡眠時無呼吸) 気道は開いているのに、脳から「呼吸をしろ」という指令がうまく出なくなることで起こる、OSAに比べて比較的珍しいタイプです。心不全などの心疾患に合併して起こることが多いのが特徴です。

● SDB(睡眠呼吸障害)/SRBD(睡眠関連呼吸障害) 症状があるかどうかを問わず、睡眠中の呼吸の異常をひっくるめて呼ぶときの学術的な総称です。日本の保険制度のルールでは「治療の保険適用」と「患者さんの症状」が必ずしも完全には一致しないことがあるため、学術的な議論や国際的な分類の場では、SASよりもこのSDBやSRBDという言葉が好んで使われることがあります。

[2]「無呼吸」という言葉の3つの意味と不思議な使い方

病院で「無呼吸はありましたか?」と聞かれた時、実は文脈によって3つの異なる意味で使われています。

①病名:「睡眠時無呼吸(sleep apnea)」という病気そのものの省略としての呼び方。
②呼吸イベント:検査のデータ上で「10秒以上気流が停止した」という、1回1回の出来事(現象)のこと。
③状態:「寝ているときに息が止まっている」という見た目の状態。

    最近では、病気が一般に広まった影響で、ご家族が「昨日、無呼吸していましたよ」と、「無呼吸」を動詞のように使うことが増えています。医療従事者からすると「無呼吸」はあくまで状態や現象を示す名詞なので、少し驚く新しい表現ですが、これは一定の体重を超えた状態を指す「肥満」という言葉が「最近、肥満してしまった」と動詞のように使われるのと同じような、言葉の面白い変化と言えます

    [3]検査の種類と目的に関する用語(PSG・簡易モニター・スクリーニング

    検査についての言葉も、目的や方法によって厳密に分けられています。

    ● PSG検査(終夜睡眠ポリグラフ検査) SASの診断の基本となる、最も詳しい検査です。日本では通常、病院に一晩入院して行われます。脳波、呼吸、眼球の動きなどを測るたくさんのセンサーを取り付けます。最大のポイントは「脳波」を測ることで、本当に眠っている時間(TST:総睡眠時間)を1分1秒まで正確に計算できる点です。

    ● 簡易モニター 自宅で手軽に行える検査で、指先につけるパルスオキシメータなども含まれます。PSG検査との決定的な違いは、「脳波を測るセンサーがない」ことです。そのため、厳密には「本当に寝ている時間」ではなく、「機械をつけて観察していた時間(MT:観察時間)」や「記録時間」をベースにして簡易的に数値を計算します。

    ● スクリーニング検査 これは特定の機械の名前ではなく、「まずは疑いがある人をふるい分ける」という検査の「目的」を指す言葉です。通常は簡易モニターを使ってスクリーニングを行います。日本のルールでは、簡易モニターの数値が一定以上であればそのまま治療に進めることもありますが、基本的には確定診断のためにPSG検査が必要となります。

    [4]重症度を表す「イベント指数」(AHI・REI・RDI・ODI)

    検査結果で「1時間あたり何回呼吸が乱れたか」を表す数値で、この数字によって重症度が決まります。専門的には、呼吸の乱れには「①呼吸が止まる(無呼吸)」「②呼吸が弱まる(低呼吸)」「③呼吸が制限される(RERA)」「④酸素が不足する」の4つの現象(イベント)があります。

    ● AHI(無呼吸低呼吸指数) PSG検査で出される、最も正確で重要な数値です。①無呼吸と②低呼吸の合計回数を、脳波から計算した「本当の睡眠時間(TST)」で割って算出します。

    ● REI(呼吸イベント指数) 簡易モニターで出される数値です。①無呼吸と②低呼吸の合計回数を、脳波がないため「機械をつけていた時間(MT)」で割って算出します。日本の医療現場では、簡易モニターの結果もまとめて「AHI」と呼ばれてしまうことが多いのですが、厳密には分母が違うため「REI」と呼んで区別すべき数値です。

    ● RDI(呼吸障害指数) ①無呼吸と②低呼吸に加えて、「③RERA(呼吸の努力によって脳が起きてしまった状態)」という現象も足して計算した数値です。RERAは脳波を測る詳しいPSG検査でしか記録できないため、簡易モニターでRDIが提示されている場合は、実際にはREIを意味している可能性が高いです。

    ● ODI(酸素飽和度低下指数) ④酸素が不足するイベントが、1時間に何回起きたかを示す数値です。

    [5]治療機器や評価に関する用語(CPAP・OA・MAD・アドヒアランス)

    最後に、治療に進んだ際によく聞く用語です。

    ● CPAP(持続陽圧呼吸療法) 鼻から空気を送り込んで気道を広げる、SASの最も代表的な治療法です。最新の機種では、毎晩の睡眠データや使用状況をクラウド上に送信し、医師と共有する「遠隔モニタリング」という機能がついています。

    ● OA(口腔内装置) いわゆる「マウスピース治療」のことです。

    ● MAD(下顎前突装置) OA(マウスピース)の種類の一つで、寝る時に「下顎を少し前に出した状態」で固定するタイプです。下顎を前に出すことで、舌が喉の奥に落ち込むのを防ぎます。現在、日本でのOA治療はこのMADが主流です。

    ● TRD(舌保持装置) これもOAの一種ですが、顎ではなく「舌そのものを前方に移動させて保持する」という異なる仕組みを持ったタイプです。

    ● アドヒアランス 患者さんが「どれくらいしっかりと治療を継続できているか(毎晩使っているか、何時間使っているか)」を示す言葉です。どんなに優れた治療器でも、使わなければ意味がありません。OA治療は持ち運びが簡単で手軽なため、CPAPに比べてこの「アドヒアランス(継続性)」が高いというメリットがあります。

    まとめ

    医療の現場では様々なアルファベットの略語や専門用語が飛び交いますが、その言葉の定義を少し知っておくだけで、「自分が受けたのは簡易的な検査なのか、正確な検査なのか」「提示された数値は脳波に基づいたAHIなのか、簡易的なREIなのか」が分かり、自分の状態をより深く正確に把握できるようになります。

    これらを理解しておくと、お医者さんや検査技師さんの説明がグッと分かりやすくなり、治療に対する納得感やモチベーションも大きく高まります。もし病院で分からない言葉が出てきたら、用語の意味を遠慮せずに主治医に質問してみましょう。

    ◉睡眠時無呼吸症候群について、よくいただくご質問はこちらをご確認ください。
    よくある質問

    睡眠時無呼吸症候群についてさらに詳しい内容はこちらをご覧ください。
    神戸元町呼吸器内科・アレルギークリニック

    ◉睡眠時無呼吸症候群に関する詳しい情報は 厚生労働省公式ページ をご参照ください。

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