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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の歴史:病気の発見から現代の治療まで

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の歴史:病気の発見から現代の治療まで

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?「いつも眠そうにしていて、大いびきをかく太った人の病気」と思うかもしれません。SASは、寝ている間に空気の通り道(上気道)がふさがってしまい、呼吸ができなくなる病気です。極端に「放っておくと死んでしまう怖い病気」というイメージを持たれることもありますが、必要以上に恐れず、正しく事実を理解して適切に対処することが重要です。

最近は、必ずしも肥満の人だけがなる病気ではなく、複数の要因が関係していることが分かってきています。
実は、この病気が世の中に広く知られるようになってから、まだ50年ほどしか経っていません。
今回は、SASの歴史を振り返りながら、病気への理解を深めていきましょう。

小説のキャラクターから始まった病気の発見

現在私たちが「SAS」と呼んでいる病気の症状は、かつて「ピックウィック症候群」と呼ばれていました。1956年に登場したこの病名は、イギリスの作家チャールズ・ディケンズの小説『ピックウィック・クラブ』に登場する少年ジョーに由来しています。

肥満児である少年ジョーはいつも眠そうにしていて、レストランでの給仕中にもいびきをかいて寝てしまうキャラクターでした。
その後、1968年に睡眠中の脳波や呼吸を記録する検査方法が標準化され、睡眠医学の研究が一気に進みました。1970年には、「睡眠医学の父」と呼ばれるウィリアム・デメントによって、世界初の睡眠クリニックであるスタンフォード睡眠障害クリニックが設立されます。
そして1976年、クリスチャン・ギルミノーという医師によって「寝ている間に10秒以上、口と鼻の気流が停止する(呼吸が止まる)」という現象がこの病気の本質であると提唱され、ここでついに「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という概念が誕生したのです。

治療法の劇的な進化:気管切開から現代の多様な治療へ

病気が発見された当初、非常に重症な患者を救うための治療法は、喉に穴を開ける「気管切開」しかありませんでした。しかし1981年、コリン・サリバンによって「CPAP(持続陽圧呼吸療法)」という画期的な治療法が開発されます。これは鼻から空気を送り込んで気道を広げる治療法ですが、初号機はマスクをグラスファイバーで鼻に固定するような大掛かりなものでした。当時は、気管切開を避けるために命がけで行われる治療だったのです。

なお、現在でも世界的なCPAPの機種名には、開発者サリバンの頭文字である「S」が引き継がれています。 現在では機器の小型化や静音化が進み、違和感も少なくなり、働きながらでも快適に治療を続けられるようになりました。

さらに最新の機器では、睡眠中のデータをクラウド上に送信し、医師と共有する遠隔モニタリングも可能になっています。 また、CPAP以外の治療法も進化しています。比較的症状が軽い方向けには、寝る時に下顎を少し前に出して気道を広げるマウスピース(OA:口腔内装置)治療が開発されています。他にも、患者さんの状態によっては、気道や扁桃腺の手術(睡眠外科手術)を行うという選択肢も古くから検討されてきました。

日本中がSASを知るきっかけとなった新幹線事故と社会の取り組み

日本で初めてCPAP治療が行われたのは1985年の虎の門病院で、その後1998年に保険適用となりました。しかし当時はまだ、SASという病気は一般にはほとんど知られておらず、治療に結びつく人は少ないままでした。

日本中でこの病気が有名になったのは、2003年に起きた山陽新幹線の居眠り運転事故です。体重約100キロの運転士が強い眠気に襲われ、時速数百キロで走る新幹線を運転中に、なんと8分間も居眠りをしてしまったのです。列車は岡山駅の手前で自動停車し、車掌に起こされるまで運転士は眠り込んでいました。この運転士が後にSASと診断されたことで、SASは重大な交通事故を引き起こす可能性のある病気として、社会に大きな衝撃を与えました。

これを機に、トラックやバスなどの運輸業界では、国土交通省や全日本トラック協会による安全マニュアルの策定が進められました。今では、ドライバーに対するSASのスクリーニング検査が積極的に推奨されるようになるなど、社会全体での対策が進んでいます。

まとめ

歴史を振り返ると、SASは医学の進歩とともに病態が解明され、効果的な治療法が確立されてきたことがわかります。昔は気管切開しか治療法がない恐ろしい状態でしたが、今はCPAPやマウスピースなどで安全かつ快適に治療ができる時代です。

もし、ご自身やご家族の「ひどいいびき」や「日中の強い眠気」に心当たりがある場合は、放置せずに医療機関に相談してみましょう。病気について正しく事実を知り、正しく恐れることが健康への第一歩です。

◉睡眠時無呼吸症候群について、よくいただくご質問はこちらをご確認ください。
よくある質問

睡眠時無呼吸症候群についてさらに詳しい内容はこちらをご覧ください。
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◉睡眠時無呼吸症候群に関する詳しい情報は 厚生労働省公式ページ をご参照ください。

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