【201】血圧の薬を飲んでいるのに、なかなか下がりません。無呼吸のせいでしょうか?
はい。「治療抵抗性高血圧」の原因として、最も疑われるのが睡眠時無呼吸症候群です。
通常、血圧は睡眠中に下がりますが、無呼吸があると酸素不足によるストレスで交感神経が興奮し、寝ている間も血圧が高いままになります(夜間高血圧)。さらに、その影響が日中まで続き、降圧剤が効きにくい体質を作ってしまいます。薬を3種類以上飲んでも下がらない場合、SASの治療を併用することで血圧が安定するケースが多くあります。
参考文献 (References)
1. 「薬が効かない高血圧」と無呼吸の関係を暴いた衝撃的な研究
- Logan AG, et al. High prevalence of unrecognized sleep apnoea in drug-resistant hypertension. Journal of Hypertension. 2001.
- 解説: カナダのトロント大学の研究チームによる報告です。
- 降圧剤を3種類以上服用しても血圧がコントロールできない「治療抵抗性高血圧」の患者さん41名を詳しく検査したところ、なんと「83%(34名)」に睡眠時無呼吸症候群(SAS)が見つかりました。
- しかも、その多くは本人に自覚症状がありませんでした。この研究により、「血圧が下がらない=まず無呼吸を疑え」という医学的な常識が確立されました。
2. 無呼吸が高血圧を引き起こす「量的な関係」の証明
- Peppard PE, et al. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. New England Journal of Medicine. 2000.
- 解説: 世界的な医学誌『NEJM』に掲載されたウィスコンシン睡眠コホート研究です。
- 高血圧のない男女を4年間追跡した結果、無呼吸の重症度(AHI)が高ければ高いほど、将来高血圧になるリスクが直線的に上昇することが証明されました(AHIが15以上の中等症以上では、発症リスクが約3倍)。
3. 日本の治療ガイドライン
- 日本高血圧学会
- 『高血圧治療ガイドライン2019 (JSH2019)』
- 解説: 日本のガイドラインにおいても、睡眠時無呼吸症候群は「二次性高血圧(原因が特定できる高血圧)」の主要な原因の一つとして明記されています。
- 特に、夜間の血圧が下がらない「non-dipper型」や、早朝に急上昇する「morning surge型」の高血圧に対しては、積極的にSASの検査を行うことが推奨されています。
