ドライバー職の方が知っておくべきSAS(睡眠時無呼吸症候群)
運転中のヒヤリハットを防ぐ。職業ドライバーが知っておくべきSAS(睡眠時無呼吸症候群)
「高速道路を走っていると、いつの間にか記憶が飛んでいることがある」 「白線を踏んだ時の『ガガガッ』という音でハッと目覚めた」 「渋滞の最後尾に突っ込みそうになり、冷や汗をかいた」
職業ドライバーの皆様にとって、こうした「ヒヤリハット」は、一度のミスが人生を変えてしまう恐怖の瞬間です。 プロとしての責任感から、ガムを噛んだり窓を開けたりして必死に眠気と戦っている方も多いでしょう。
しかし、もしその眠気が「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」によるものであった場合、気合や根性では決して防ぐことはできません。
今回は、神戸元町呼吸器内科・アレルギー科クリニックが、プロドライバーの命と免許を守るためのSAS対策について解説します。

1. プロでも抗えない「マイクロスリープ」の恐怖
SASによる睡眠不足の最大の恐怖は、「マイクロスリープ(微小睡眠)」です。 これは、脳が疲労の限界を超え、数秒間だけ強制的に「シャットダウン(睡眠)」してしまう現象です。目は開いていても、脳は眠っている状態になります。
例えば、時速60kmで走行中、わずか4秒間のマイクロスリープが起きるとどうなるでしょうか? 車はコントロールを失ったまま、約67メートルも進みます。 時速80kmなら、約89メートルです。
これは、前の車に追突したり、ガードレールを突き破ったりするには十分すぎる距離です。SASの重症患者さんは、このマイクロスリープが頻繁に起こりやすい状態にあるのです。
2. 事故リスクは健常者の7倍
睡眠時無呼吸症候群を未治療のまま運転することは、「飲酒運転」と同等、あるいはそれ以上に危険だと言われています。
・交通事故発生率:健常者の約7倍 (重症SAS患者の場合。出典:Findley et al.)
・人身事故のリスク:数倍〜10倍以上
実際に、過去に起きた新幹線の居眠り運転や、高速バスの重大事故の背景にSASがあったことが判明し、社会問題となりました。 これを受け、国土交通省もガイドラインを策定し、運送事業者に対してドライバーのSASスクリーニング検査を強く推奨しています。
3. ドライバー向け・危険度セルフチェック
特に以下のような状況で強い眠気を感じる場合は、SASの可能性が高いと言えます。
[ ] 高速道路などの単調な道を運転している時
[ ] 信号待ちや渋滞で停車した直後
[ ] 食事(昼食)をとった後の午後の運転
[ ] 運転中、無意識に車線をはみ出してしまうことがある
[ ] 帰宅後、座ったまま寝落ちしてしまう
[ ] 同僚や仮眠室で「いびきがうるさい」「息が止まっている」と言われた
「プロだから眠くても運転できる」のではなく、「プロだからこそ、自分の睡眠リスクを把握している」ことが求められる時代です。
4. 「診断されたら仕事ができなくなる」は誤解です
多くのドライバーさんが受診をためらう最大の理由が、「SASと診断されたら、乗務停止になって仕事を失うのではないか?」という不安です。
結論から申し上げますと、それは誤解です。
適切な治療(CPAP療法など)を行い、症状がコントロールされていれば、運転業務を続けることは十分に可能です。 むしろ、治療によって「熟睡できる」ようになるため、以下のようなメリットが生まれます。
①日中の眠気が消え、集中力が劇的に向上する。
②事故のリスクが健常者と同レベルまで下がる。
③高血圧などの合併症が改善し、健康起因事故(運転中の発作など)を防げる。
④長く健康にドライバー人生を続けられる。
当院では、ドライバーという職業の重要性を理解した上で、業務に支障が出ないようスピーディーに検査・治療導入をサポートします。
5. 会社を守り、家族を守るために
2007年の道路交通法改正により、SAS(重度の眠気を呈する睡眠障害)が原因で事故を起こした場合、「危険運転致死傷罪」が適用される可能性があります。 これは、自分だけでなく、雇用主である会社や、被害者、そしてあなたの家族の人生をも巻き込む重大な事態です。
SASは、早期に発見すればコントロール可能な病気です。 「最近、運転が怖いな」と感じたら、それは体が発しているSOSです。
まとめ:神戸でSAS検査を受けるなら当院へ
神戸元町呼吸器内科・アレルギー科クリニックは、お仕事で忙しいドライバーの方でも通いやすいよう、配慮しています。
・簡易検査は自宅で可能: 機器を持ち帰り(または郵送)、寝る時に装着するだけ。入院の必要はありません。
・通いやすい立地: JR・阪神「元町駅」からすぐ。
・CPAP治療の継続サポート: 定期的な通院で、データの解析と指導を行います。
「無事故・無違反」のゴールド免許を守るためには、車両の整備と同じくらい、ドライバー自身の「睡眠の整備」が不可欠です。 不安な方は、まずは一度ご相談ください。
参考文献
・国土交通省「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」
・全日本トラック協会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策について」
・Findley LJ, et al. Driving simulator performance in patients with sleep apnea. Am Rev Respir Dis. 1989.
・Teran-Santos J, et al. The association between sleep apnea and the risk of traffic accidents. N Engl J Med. 1999.(SASと交通事故リスクの関連性を示した有名な論文)
