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コラム

リスク・合併症編

糖尿病と睡眠の深い関係。睡眠不足が血糖値を上げるメカニズム

糖尿病と睡眠の深い関係。睡眠不足が血糖値を上げるメカニズム

「甘いものは控えているし、野菜から先に食べている。」 「毎日ウォーキングも頑張っている。」

それなのに、検診の結果で「血糖値が下がっていない」「HbA1cが高止まりしている」と指摘され、落ち込んでしまった経験はありませんか?

努力が数値に結びつかない時、見落とされている最大の要因。 それが「睡眠」です。

実は、睡眠と血糖値は切っても切れない関係にあります。どんなに素晴らしい食事療法や運動療法を行っても、睡眠の質が悪ければ、その効果は半減してしまうのです。

今回は、神戸元町呼吸器内科・アレルギー科クリニックが、意外と知られていない「睡眠不足が血糖値を爆上げしてしまうメカニズム」について解説します。

1. 寝不足だと、体は「緊急事態」と勘違いする

睡眠不足の状態は、体にとって大きなストレスです。 しっかりと休息が取れていないと、脳は「危機的状況だ!」と判断し、ストレスに対抗するホルモン(コルチゾールやアドレナリン)を大量に分泌します。
これらのホルモンには、「戦うためのエネルギー」を作り出すために、血糖値を上げる作用があります。 つまり、寝不足というだけで、体は勝手に糖を作り出し、血糖値を上げてしまうのです。
また、これらのストレスホルモンは交感神経を刺激し、血管を収縮させたり血圧を上げたりするため、糖尿病の大敵である「動脈硬化」も進行させてしまいます。

2. 「インスリン」が効かなくなる(インスリン抵抗性)

血糖値を下げる唯一のホルモンが「インスリン」です。 通常、インスリンは血液中の糖分を細胞の中に取り込ませる「鍵」のような役割を果たしています。
しかし、睡眠不足が続くと、この「鍵」が鍵穴にうまく合わなくなってしまいます。 これを医学的に「インスリン抵抗性」と呼びます。

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  1. すい臓は頑張ってインスリン(鍵)を出している。
  2. しかし、細胞のドア(鍵穴)が開かない。
  3. 糖分が細胞に入れず、血液中にあふれてしまう(=高血糖)。

米国の研究では、わずか数日間の睡眠不足(4時間睡眠)を続けるだけで、健康な人でもインスリンの働きが約40%も低下し、糖尿病予備軍のような状態になったというデータもあります。 「寝ない」ということは、それほど強烈に血糖コントロールを乱す行為なのです。

3. 食欲が暴走し、我慢できなくなる

「寝不足の日は、無性にラーメンや甘いお菓子が食べたくなる」 そんな経験はありませんか? これはあなたの意志が弱いからではありません。ホルモンのせいです。

睡眠時間と食欲に関するホルモンには、以下の関係があります。
・レプチン(食欲抑制ホルモン): 睡眠不足で減少する。
グレリン(食欲増進ホルモン): 睡眠不足で増加する。

質の悪い睡眠は、「満腹感を感じにくく、空腹感を感じやすい体」を作ってしまいます。しかも、グレリンが増えると、高カロリー・高脂肪なものを欲するようになります。 この状態で食事制限を続けるのは、至難の業です。

4. 糖尿病患者の約半数は「睡眠時無呼吸症候群」!?

糖尿病(特に2型糖尿病)の患者さんにとって、最も警戒すべき睡眠障害が「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。

実は、2型糖尿病患者さんの約30〜50%がSASを合併していると言われています。 これは偶然ではありません。両者は「悪循環のペア」なのです。

SASによる低酸素ストレス: 寝ている間に呼吸が止まり、酸欠になると、前述したストレスホルモンが大量に出て、インスリンが効かなくなり、血糖値が上がります。

高血糖による神経障害: 高血糖が続くと自律神経がダメージを受け、のどの筋肉の調整がうまくいかなくなり、無呼吸が悪化しやすくなります。

この負のスパイラルに陥っている場合、いくら糖尿病の薬を飲んでも、根本原因である「夜間の酸欠」を治さない限り、血糖コントロールは改善しません。

5. 睡眠を治療すれば、HbA1cは下がる

逆に言えば、睡眠時無呼吸症候群を適切に治療すれば、血糖値も改善する可能性が高いということです。

SASの治療法であるCPAP(シーパップ)療法を導入することで、
・睡眠中の酸素不足が解消される
・ストレスホルモンが減る
・インスリンの効き(感受性)が良くなる

その結果、HbA1cの数値が改善する(平均して0.3〜0.5%程度低下するという報告もあります)ことが多くの研究で示されています。

まとめ:血糖値が気になったら、睡眠も見直そう

「食事も運動も薬もやっているのに、なぜ?」 そう行き詰まっている方は、ぜひ一度「睡眠の質」に目を向けてみてください。
大きないびきをかいている
・夜中にトイレに起きる
・日中、強い眠気がある

これらの症状がある場合、背後に睡眠時無呼吸症候群が隠れているかもしれません。
神戸元町呼吸器内科・アレルギー科クリニックでは、糖尿病治療中の方の睡眠検査を積極的に行っています。 かかりつけの内科医と連携しながら、あなたの血糖コントロールを「睡眠」の側面からサポートします。
「寝る子は育つ」と言いますが、大人にとって「寝る人は血糖値が下がる」は真実です。 まずは当院の簡易検査で、あなたの睡眠状態をチェックしてみませんか?

参考文献
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」
・日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」
・Spiegel K, et al. Impact of sleep debt on metabolic and endocrine function. Lancet. 1999.(睡眠負債が代謝・内分泌機能に与える影響)
・International Diabetes Federation (IDF) “Diabetes and Sleep Apnoea”(糖尿病と睡眠時無呼吸に関する報告書)

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