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「息が止まっている」と言われたら?!

家族から「息が止まっている」と言われたら。放置するリスクと受診の目安

「昨日、寝ている時に息が止まっていたよ」 「急に『グガッ!』と音がして、苦しそうだった」

朝起きて、家族やパートナーからそんな衝撃的なことを言われた経験はありませんか?

言われた本人は、ぐっすり寝ていたつもり。「まさか、そんな大げさな」「たまたま疲れていただけだろう」と笑って済ませてしまうことがほとんどです。なぜなら、寝ている間のことは自分では絶対に分からないからです。家族からの「息が止まっている」という指摘は、どんな精密検査よりも重要な「命の危険信号」です。

今回は、神戸元町呼吸器内科・アレルギー科クリニックが、なぜその指摘を無視してはいけないのか、放置すると体に何が起こるのかについて、真剣にお伝えします。

なぜ、「家族の証言」が最も重要なのか?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の最大の特徴は、「自覚症状が出にくい」ことです。

寝ている間に呼吸が止まっていても、本人は意識がないため、苦しさを感じていないことが多々あります。また、日中の眠気の症状は必ずしも全員に見られるわけではなく、「昼間なんとなく眠いかな?」程度にしか感じないこともあります。そのため、「自分は健康だ」と信じている患者さんが非常に多いのです。

一方で、隣で寝ているご家族は、その異常さを目の当たりにしています。

  1. 大音量のいびき(工事現場レベルの騒音)
  2. 突然の静寂(10秒〜1分近く音が消える)
  3. 爆発的な呼吸再開(「ブハッ!」「ガガッ!」というあえぎ音)

このサイクルは、医学的に見ても明らかに異常な状態です。 客観的に見ている家族の「息が止まっていた」という言葉は、医師の問診における最も信頼度の高い「証拠」となります。 「大げさだ」と否定せず、その言葉を信じてください。

寝ている時、あなたの体で何が起きているのか?

「息が止まっている」と言われた時は、首を絞められているのと同じです。あなたの体の中では「窒息」が起きています。

仰向けで寝ることで、舌や喉の筋肉が重力で下がり、空気の通り道(気道)を完全に塞いでしまいます。 まるで、首を絞められているのと同じ状態です。

呼吸が止まると、血液中の酸素濃度が急激に下がります(SpO2の低下)。 全身が酸欠状態になり、心臓や脳などの重要臓器に酸素が届かなくなります。

すると脳は、「このままでは死ぬ!」と緊急アラートを鳴らし、心拍数を上げ、血圧を一気に上昇させて、無理やり体を起こして呼吸を再開させます。 これが「ブハッ!」というあえぎ呼吸の正体です。

一晩に何十回、重症の方では何百回もこの「窒息と覚醒」を繰り返しているのです。これでは、心臓も脳も休まる暇がありません。

「放っておけば治る」はありません。放置するリスク

「そのうち治るだろう」と放置するのは非常に危険です。 SASは自然治癒することは稀で、加齢や体重増加とともに悪化していくのが一般的です。 放置することで、以下のような命に関わるリスクが跳ね上がります。

1. 治療抵抗性高血圧(薬が効かない高血圧)

SAS患者の約50%〜80%は高血圧を合併していると言われています。 夜中に呼吸が止まるたびに、血管を収縮させる交感神経が興奮するため、血圧が乱高下します。SASが原因の高血圧は、降圧剤を飲んでもなかなか下がらないのが特徴です。

2. 脳卒中・心筋梗塞の引き金に

血管へのダメージが蓄積し、動脈硬化が進行します。 健常者に比べて、脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリスクは約4倍、心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクは約3倍になると言われています。 特に、「睡眠中の突然死」の原因の一つとしてもSASは強く疑われています。

3. 日中のパフォーマンス低下と事故

酸欠による睡眠不足は、日中の強烈な眠気や集中力低下を招きます。 仕事でのミスが増えるだけでなく、居眠り運転による交通事故のリスクは健常者の7倍というデータもあります。あなただけでなく、他人を巻き込む事故につながりかねません。

病院へ行くべき?「受診の目安」チェックリスト

「息が止まっていると言われたけれど、本当に病院に行くべき?」 そう迷っている方は、以下の項目をチェックしてください。

【絶対受診レベル:1つでも当てはまれば即受診を】
[  ] 家族から「呼吸が止まっている」「苦しそうにあえいでいる」と指摘された
[  ] 居眠り運転をしそうになった、またはしたことがある
[  ] 仕事中や会話中に、意識が飛ぶような眠気がある

【要受診レベル:SASの可能性が高いサイン】
[  ] 毎晩のように大きないびきをかく
[  ] 朝起きた時、口がカラカラに乾いている
[  ] 朝起きると頭痛がする、頭が重い
[  ] 夜中に何度もトイレに起きる
[  ] 以前に比べて血圧が高くなった、薬が効きにくい
[  ] 体重が増えた、または首回りが太くなった

特に、「家族からの指摘」+「日中の眠気(または高血圧)」のセットがある場合は、重症の睡眠時無呼吸症候群である可能性が極めて高いです。

受診へのハードルは高くありません

「呼吸器内科に行くのは大掛かりで怖い」と感じるかもしれませんが、SASの検査は非常にシンプルです。

当院では、まず「簡易検査(アプノモニター)」を行います。 手のひらサイズの機械をご自宅に持ち帰っていただき、寝る時に指と鼻にセンサーをつけるだけです。痛みもなく、普段通りに寝ていただくだけで検査は終了します。

もしSASと診断された場合、CPAP(シーパップ)療法という治療を行います。 鼻から空気を送り込んで気道を広げる治療法で、手術の必要はありません。治療を始めたその日から、「嘘のように朝スッキリ目覚められた」「昼間の眠気がなくなった」と劇的な変化を感じる方が多くいらっしゃいます。

まとめ:指摘してくれた家族に感謝を

家族から「息が止まっている」と言われた時、うるさいと言われたようでムッとするかもしれません。 しかし、その言葉は、あなた自身では気づけない「命の危機」を知らせてくれた救いの言葉です。

指摘してくれたご家族に感謝し、その言葉をきっかけに医療機関を受診してください。 早期発見・治療ができれば、リスクを回避し、健康な生活を取り戻すことができます。

神戸元町呼吸器内科・アレルギー科クリニックは、JR・阪神「元町駅」から徒歩すぐの場所にあります。 「家族に言われたから、とりあえず検査だけ」という動機で構いません。お気軽にご相談ください。

参考文献
日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」
Peppard PE, et al. Longitudinal study of moderate weight change and sleep-disordered breathing. JAMA. 2000.(体重変化とSASの関係)
Marin JM, et al. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnea-hypopnea with or without treatment with continuous positive airway pressure. Lancet. 2005.(未治療SASの心血管リスクに関する大規模研究)
厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」

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